大掃除

  年末、日本人なら誰もが通過しなきゃいけないイベント。大掃除。
今年こそは大掃除を達成しなきゃいけない。

 去年は、やらなければ。と思いつつ流れてしまった。
一昨年は結局、未完のままに終ってしまった。
その前はどうだったろうな、良く覚えてないな。

 だけど、今年こそはやらなきゃいけない。
それこそが、僕が新しい僕へと進むための第一歩。ここからが僕の人生の再出発地点。
だから、今年の大掃除こそは気合を入れていこう。

 付き合って4年目。現在、同棲中の彼女と一緒に大掃除を進めていく。
読まない雑誌、普段使わないようなガラクタ、みんな捨ててしまえ。捨てる勇気、捨てる勇気。
掃除機も徹底的に掛ける。押入れの中、冷蔵庫の裏、床下収納まで。
雑巾掛けは舐め回すように。ベランダ、テレビ、下駄箱、洗濯機の下、トイレ。
布団も洗え、シンクも洗え、台所の換気扇も、風呂場の排水溝も。洗って洗って洗い流せ。
お次は壁紙の張りかえだ、空気は決して入らぬように、ノリを薄く全体に。
おっと、最後に忘れちゃいけない。包丁も研がなきゃ。これが最後に残された大仕事。
念入りに念入りに、触っただけで指が切れちゃう位にきれいに研ぐ。

「あらかた終ったわね」
  ぴかぴかになった部屋を気持ちよさそうに眺めながら彼女は言った。
「いや、まだ大きなのが一つ残ってるよ」
僕は鏡のようになった包丁を手にもって言った。
「え? 何かしら?」
彼女は怪訝そうに尋ねる。
「もちろん、僕と君との関係の清算さ」

 ざくり



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